足関節捻挫の傷害予防:日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の視点から

足関節捻挫は、スポーツ選手や日常生活で最も頻繁に発生するケガの一つです。一見軽視されがちですが、適切なケアを怠ると反復性足関節捻挫や長期的な運動能力の低下を引き起こすリスクがあります。ここでは、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の視点から、傷害予防の方法について解説します。


足関節捻挫の発生メカニズムと課題

足関節捻挫は、特に運動中の急な方向転換や着地時の不安定な姿勢で発生しやすく、その多くは外側靭帯(前距腓靭帯など)の損傷を伴います。
問題は、一度捻挫を起こすと、以下の理由で再発しやすくなることです:

  • バランス能力の低下
    捻挫後、足首周辺の神経筋制御が弱まり、安定性が低下します。
  • 姿勢制御の不全
    体幹(コア)の機能が不十分だと、足首に過剰な負担がかかります。

傷害予防における「予防の専門家」の役割

JSPO-ATは、スポーツ選手の傷害予防とコンディショニング/リコンディショニングに特化した資格を持つ専門家で、以下のようなアプローチを提供します:

1. 体幹(コア)トレーニングの導入

体幹の強化は、足首の安定性を保つために重要です。

  • 具体例:
    • プランクやサイドブリッジでコア筋群を鍛える。(プランクやサイドブリッジでは、基礎的なコア筋群の強化です。これを行えばOKということではなく、基礎的な筋力訓練の後には、体幹(コア)を安定させつつ、四肢を自由に動かせるようにする訓練へと発展させていく必要があります。スポーツ動作は止まっているだけのものではないからです。このため、プランクやサイドプランク種目のみでは不十分であることを付け加えておきます。
    • 体幹を安定化させつつの動作(ジャンプや方向転換)を反復練習する。

2. バランス能力の向上

バランスディスクや片足立ちトレーニングを活用し、足首周辺の筋力と神経筋制御を強化します。

3. 姿勢制御の再教育

全身の動作パターンを見直し、不適切な姿勢やフォームを修正します。これにより、足関節に過剰な負担をかけない動作を習得します。足関節のケガだから足関節周囲筋を強くしよう!ということ自体は決して悪いことではなく、機能不全や筋力低下があるなら訓練は必要ですが、足関節周囲筋の訓練(チューブなどを使う内容)は、整形外科で行われるメディカルリハビリテーションの際に、理学療法士より指導いただく内容ですね。予防的アプローチとして、捻挫していない選手に対して、リハビリで行う足関節周囲筋の訓練をしておくことも良いでしょう。


テーピングに頼り過ぎないアプローチ

足関節捻挫の再発予防には、テーピングやサポーターが役立ちます。しかし、これらに過度に依存すると、足首周辺の筋肉や神経の自然な機能が低下する可能性があります。
JSPO-ATが推奨する方法:

  • テーピングは補助的手段として使用しつつ、体幹トレーニングやバランス練習を優先する。
  • 長期的には「自分の筋力とバランスで支える」ことを目指す。
  • 重度の捻挫既往や、関節の構造的な課題として不安定性がある場合、競技特性上必要な場合(アメリカンフットボールなどの激しいコンタクトスポーツ)においては、テーピングは必要ですが、それ以外のケースで、テーピングへの依存度がたくなり過ぎないように気をつけましょう。

反復性足関節捻挫を防ぐ「原因の原因」へのアプローチ

単なる捻挫の治療ではなく、その背後にある「原因の原因」を突き止めることが重要です。

  • 姿勢や動作パターンの改善
    体全体の使い方を見直し、足首に負担がかからないようにします。
  • 日常生活でのケア
    適切な靴の選択や歩行フォームの見直し。

まとめ:傷害予防は全身のバランスから

足関節捻挫の予防と再発防止には、患部だけでなく、体幹や姿勢制御を含む全身的なアプローチが必要です。日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)は、選手一人ひとりに合わせたプランを提供し、パフォーマンス向上と傷害予防を両立させる専門家です。

ケガをしていては競技ができない、または最大限のパフォーマンス発揮ができないことになります。

なので予防が大切です。

この予防を意識していくことでのメリットは、今回紹介している内容にあるような、全身のバランスや、姿勢制御訓練など、神経系へのアプローチがあるため、より安全で、かつ効率の良いカラダの動きに繋がるかもしれませんよ!

不安定な体幹のままで良いプレーにつながるとは言えませんね。

予防とは、詰まるところ「競技力向上」「パフォーマンス向上」へも直結する内容でもあります。筋力や柔軟性を向上させるように、バランス力や姿勢制御などの神経系要素の向上が、結果的に予防可能性を上げるということなので、予防と競技力向上は同義です。

適切なトレーニングとケアで、捻挫のリスクを最小限に抑え、競技生活を安全に続けましょう!

JSPOAT(予防の専門家)小野勇太

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