ジャンプトレーニングで競技力向上と傷害予防を目指そう

ジャンプトレーニングと着地時のケガ

ジャンプトレーニングは、筋力やパワー、敏捷性を鍛える一方で、着地時のケガのリスクがつきまといます。バスケ、サッカー、バレー、ハンドボール、アメフトなどの片足で着地するシーンにおいて、特に膝や足首に過剰な負荷がかかると、以下のような傷害が発生することがあります。

  • 膝前十字靭帯(ACL)の損傷
  • 足関節捻挫
  • 疲労骨折
  • ジャンパー膝(膝蓋靱帯炎)

これらの傷害を予防することは、競技に復帰するまでの時間を短縮し、トレーニングを継続的に行うための鍵となります。


傷害予防は競技力向上につながる

適切な傷害予防を行うことは、競技者としてのパフォーマンス向上に直接的に影響します。以下の理由から、傷害予防は競技力向上につながると考えられます。

  1. トレーニング継続の確保
    怪我を防ぐことで、長期的にトレーニングを継続でき、着実な競技力の向上が可能。(練習、訓練、トレーニング実践なしに成長はあり得ません)
  2. 動作の効率化
    正しいフォームや動作の改善により、不要な負荷を減らし、パフォーマンスを最大限発揮できる。誤った動作の反復を学習してしまうと、動作が円滑に行えないだけでなく、関節や筋肉に余計な負担をかけることにつながり、ケガリスク上昇に加え、競技力向上を阻害します。「道具には正しい使い方がある」のは理解できる言葉と思います。その道具をカラダへ置き換えてみましょう。「カラダには正しい使い方がある」ということですね!

ジャンプトレーニングで重視すべきポイント

1. 膝とつま先の向き

  • 着地時には膝(または太もも)とつま先の向きを揃えることが重要です。この向きがそれぞれ異なる状態では、膝を雑巾絞りしているかのような「捻りストレス」を生みます。これが行きすぎると大きな怪我に繋がることがあるのです。
  • 内股や膝が内側に入り込む「ニーイン(knee-in)」は、膝関節に大きなストレスを与え、ケガの原因になります。慢性的な膝痛の要因のひとつとも言える「ニーイン」は修正が必要です。その逆で「ニーアウト(knee-out)」もよくないので、膝とつま先の向く方向は大体同じ方向を向くという考え方をもっていただきたいです。

2. 体の軸の安定

  • 体の軸をまっすぐに保つことで、着地時の不安定性や、特定の関節や筋肉への過度な負荷・負担を少なくすることで、怪我のリスクを減らします。
  • 鏡を使って自分の動きをチェックすると効果的です。できればすぐ見れる鏡が理想的ですが、ない場合には、スマホなどを使って自分の姿、トレーニング時のフォームを正面や側面から動画にして録画しておいて、後でチェックするというのもお勧めです。いずれにしても、自分の体の動きを「目で見て確認する」というセルフチェックは非常におすすめなので、行って欲しいです。理由としては、自分でイメージした通りに動けていることは、なかなかなくて、自分のイメージと、実際の動きを合わせることで、後のトレーニング効果をより引き出すことに繋がります。

3. 固有受容器の活性化

  • 固有受容器とは、関節や筋肉の動きを感知するセンサーで、バランスや姿勢制御に重要な役割を果たします。
  • ジャンプトレーニングでは、この機能へもアプローチをかける意識を持つことで、素早い動作と安定した着地が可能になります。ジャンプの着地を練習する際に、ピタッと止まる意識を持つこと、ブレないようにすることを意識することで、固有受容器の活性化に期待ができます。

ジャンプトレーニング前のチェック

  • トレーニングを始める前に、以下の点を確認しましょう。
    • 痛みや違和感がないか
    • 可動域や柔軟性が正常か
    • 基本的なフォームが正しいか
    • 危険な姿勢とは何か?
    • 安全と危険の境目はどこか?

段階的にトレーニングを進める

ジャンプトレーニングは、無理をせず段階的に負荷を高めることが大切です。初心者の場合、低い高さから始め、徐々に高さや反復回数を増やします。また、フォームが乱れる場合は、再確認してから次のステップに進みましょう。


痛みの対処と専門家の活用

  • トレーニング中に痛みや違和感が発生した場合、無理をせず中断します。
  • 痛みが持続する場合は、必ず医師の診断を受けることが重要です。その際には、運動やトレーニング面における注意事項や、禁忌(やってはいけないこと)などの確認もしておくと役立ちますよ!
  • 正しい動き方や姿勢の指導は、**日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)**などの専門家に相談しましょう。JSPO-ATの強みはここにありますので、より長くかつ、競技力向上に向けてどんな動き方や姿勢が良いのかわからない場合には、是非頼って欲しい専門家です。

まとめ

ジャンプトレーニングを効果的に行うためには、傷害予防と競技力向上を両立させる意識が必要です。「膝とつま先の向き」や「体の軸」の安定に注意し、段階的にトレーニングを進めることで、安全かつ効率的にパフォーマンスを高めることができます。さらに、痛みや違和感を無視せず、医師やアスレティックトレーナーと連携することで、長期的な競技生活を支える基盤を築きましょう。

JSPO-AT(予防の専門家) 小野勇太


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